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自治体職員の勉強ブログ

日々少しずつでも成長

倉田哲郎(大阪府箕面市長)『大阪のことを不思議に思っている人たちへ~箕面市長からみた「橋下徹」と「維新の会」の実像』(2012)

※このブログ(『自治体職員の勉強ブログ』)に記載されている内容は、このブログの筆者が所属する地方公共団体及び関連するその他の団体の意見を何ら代表するものではありません。
 
大阪のことを不思議に思っている人たちへ~箕面市長からみた「橋下徹」と「維新の会」の実像

大阪のことを不思議に思っている人たちへ~箕面市長からみた「橋下徹」と「維新の会」の実像

 
 
大阪の問題について、わかりやすく書かれている本(本記事の内容は概ね本書を元に書いています)。

※ちなみに、著者である倉田箕面市長は「大阪都構想」に対しては賛成の立場である。
 
 

大阪市

関淳一市長の時代の2004年、職員の厚遇(いわるゆ大阪市問題)がメディアで報道される。

※問題の背景には伝統的に力を持つ大阪市職員組合等との癒着があるとされる。
 
関市長は行政改革に取り組む(大阪市職員組合との決別、助役の外部登用、職員数の大幅削減など)ものの、2007年の大阪市長選挙平松邦夫氏に敗北する。

※平松氏を擁立したのは大阪市職員組合

※これまでの大阪市長大阪市議会多数派議員・大阪市職員組合大阪市職員OBなどの大阪市役所関係者をその閉鎖性を揶揄して「中之島一家」(中之島大阪市役所の所在地)と呼ぶことがある。
 
 

大阪府

1970年代の黒田了一知事の時代頃から、財政が大赤字化する。
 
2008年、橋下徹氏が大阪府知事に就任する。
 
 

【「大阪まんじゅう論」と「ふしあわせ」】

大阪府大阪市の関係を「大阪まんじゅう論」と言うことがある(大阪市が“あんこ”で大阪府が“薄皮”)。これは、大阪市政令指定都市都道府県と同等の権限を持つ)であり、大阪府大阪市が並列に存在していること、さらには、大阪市がベイエリアを含む都心部の、すなわち主要な(美味しい)行政権限を握っているのに対し、大阪府がそれ以外の周辺エリアの広域行政のみを行っていることに由来する。
 
橋下さんは、大阪の教育をなんとかしたい、子育て環境を整えたいとの気持ちで、たとえば「保育所を増やして子供を預けられる体制を作る」「全国では常識になっている公立中学校の学校給食を導入する」という公約を掲げた。でも、知事選挙に臨み、知事に就任する過程で「実はそれらはすべて市町村の仕事であって、大阪府の仕事ではない」ということを初めて知る。
(本書p.45より抜粋)
 
このように、大阪府の担う広域行政というのは限定的なのである。
 
さらには、大阪市は古くから、東京・京都と並び、国から特別な扱いを受けてきた歴史があり、それが次のような意識へと繋がっている。
 
昔から大阪市は「大阪府なんて相手にしなくていい」というお墨付きを国から与えられてきているのだ。
大阪市役所という行政組織も、市の職員も、歴代の大阪市長大阪市議会議員も、とにかく大阪市にはそんな特権意識が根強く、いわば「大阪市大阪市より格が上」「大阪市が一番偉い」という感覚を自負するのが大阪市という存在だった。
(本書p.32より抜粋)
 
傍から見れば、市の権限が強大で、府と市の力関係は逆転している。大阪においては、府よりも市の方が「偉い」のである。さらには、大阪府大阪市は仲が悪く、府と市が出くわすのは「ふしあわせ(府・市合わせ)」だとさえ言われていた。
 
故に、大阪市を含んだ広域的な課題解決も、聖域と化した大阪市を前には進まないのである。このため「府・市統合論」が幾度か語られたが、この大阪府からの提案はいつも大阪市からの反対によって終わっていた。
 
 

【「大阪維新の会」と「大阪都構想」】

当初、橋下知事は「WTC府庁移転案」など、「府市“協調”路線」をとっていたが、組織の方向性の違いや平松市長との不和などにも伴い、次第に「府市“統合”路線」に舵をきる。
 
2010年4月、大阪府大阪市を再編して大阪都とする「大阪都構想」を結集軸として「大阪維新の会」が発足する。
 
2011年4月の統一地方選挙において、大阪維新の会大阪府議会で単独過半数大阪市議会と堺市議会で第一党を獲得する(「大阪春の陣」)。
 
2011年11月の大阪市長選挙にあわせ橋下知事が辞任し、大阪府知事大阪市長のダブル選挙に持ち込む。「大阪都構想」を「大阪都“妄想”」とし、府・市統合に反対する「中之島一家」との対立のもと、大阪維新の会松井一郎氏が大阪府知事に橋下元知事が大阪市長に当選する(「大阪秋の陣」)。
 
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その後、大阪都構想は、2015年5月に、その是非を問う住民投票大阪市特別区設置住民投票)において、反対票が賛成票を上回り、否決される。
 
 「なぜ知事が市長に出るのか?」(略)理解し難かったに違いない。
(本書p.60より抜粋、一部省略は筆者による)
 
もうおおよそ5年も前のことになるのだが、2011年11月の選挙が騒がれていた当時、まさに私はそのように思った。要は何も知らなかっただけなのだが。また、大阪府大阪市の関係を紐解けば、それがダブル選挙であったことが筋道に沿ったものであることが理解できる。