御葬式について
※本記事に限定し、「コメント」及び「はてなスター」は遠慮したいと思います(それ以外は可)。
職場に限らず、組織に属すると、組織関係者やその親族などの不幸に遭遇することがあります。
その際、それが自分の特に親しい間柄の人物またはその親族などであれば、御葬式(通夜や葬儀・告別式など)に足を運ぶこともあるでしょう。
私自身、今の仕事に関連して御葬式へ参列したことはこれまでにありませんが、今後そのような事態に見舞われることはないとは言えないでしょうし、多くの場合、そういった事態は突然にやってきます。
今回、御葬式における作法についてを中心に書いていきたいと思います(あくまで一般的な作法です。宗派や地域によっても違いがあるため複雑ですし、全てを説明するわけでもありません。ここに書いてあることを実践される場合には念のためもう一度お調べになることをお勧めします)。
お坊さんがイチから教える! 葬儀・法要のマナーと心がまえ―宗派ごとの違いも大胆に説明
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※今回、概ねこの3冊の内容を元に書いています。
あらかじめお断りしておくと、このような状況において、「恥をかかないこと」それ自体が大切だとは思っていません。
この記事を書いたのは、故人やその親族を思い遣るという意味で、一定ポイントを押さえておくというのは重要であると考えたこと、また、こうした場に馴れてでもいなければ、いざという時の振る舞い方について苦慮するのが実情であると考えたことによります。
また、
現在、日本で行われる葬儀の9割以上は仏式でとり行われています。
(現代の葬儀を考える僧侶の会 2014: 2)
ということから、今回は仏式のものに限り、また、中でも参列する場合に重要と思われる事柄についてのみ話を進めていきます。
●服装
○通夜
・遺族は通夜から喪服を着用するが、それ以外の参列者は派手な服装を避ければ喪服でなくてもよい
→通夜は急ぎかけつけるものであるため
※ただし、現在は通夜でも喪服を着用するのが基本
○葬儀・告別式
・喪服(男性はブラックスーツに黒ネクタイ、女性は黒無地のワンピースなどが一般的)を着る
・靴や鞄は光沢のない黒色のもの
・真珠の二連のネックレスはつけない
→不幸がかさなることにつながるため
・毛皮や革のコートは避ける
→殺生をイメージさせるため
●香典
・線香や抹香のかわりに差し上げるお金で、金額は故人との関係によって異なる(「4」は「死」、「9」は「苦」、「8」は「末広がりで縁起良し」を連想させるため、この数字の付く金額は避ける)
・お金は新札でも構わない(が、気になる場合は、軽く折り目を入れる)
・表書きは、宗派がわからなければ「御霊前」より「御香料」「御香奠」
※浄土真宗では、死後、霊としてさまようことなく、すぐに成仏すると考えるため
※ちなみに、本来は「御霊前」「御仏前」は亡き人に、「御香料」「御香奠」は喪主にささげる場合
・薄墨を使う
→涙で墨が滲んだという意味などから
・上包みは上側の折り返しを上に、上側が下側にかぶさるようにする
→悲しみが再びないように頭を伏す意味から
→慶事の場合は下側の折り返しを上に重ねる
・袱紗に左前に包んで持参する(袱紗ばさみの場合も左前)
→慶事の場合が右前
●受付
・袱紗(ふくさ)から出した不祝儀袋はたたんだ袱紗の上にのせ、正面を受付の人に向け、両手で差し出す
・渡す際には、「このたびは、ご愁傷さまです」などひと言添える
・通夜と葬儀の両方に参列する場合には、通夜に香典を持参する
・代理で弔問するときは、本来参列すべき人の名前を書き、その左下に小さく「代」(妻の場合は「内」でも)と書く
●数珠
・本来は人間の煩悩の数である108個の珠を基本とした本連数珠を使用するが、略式数珠が一般的
・数珠の扱い方は宗派によって異なる
●焼香
○抹香
①数珠は左手、僧侶・遺族(・弔問者)に一礼し、祭壇の前に進み、遺影に一礼
②右手親指・人差し指・中指の3本で抹香をつまみ、額の高さに上げて(おしいただいて)(※)から、抹香を香炉に落とす(※)
※焼香の回数は宗派で異なる
真言宗=3回
天台宗=3回
曹洞宗=2回(1回でも可)
臨済宗=1回(一般的に)
日蓮宗=1~3回(宗内宗派で異なる)
浄土宗=1回
③合掌後一礼、僧侶(・遺族・弔問者)に一礼し、席に戻る
○線香
➀数珠は左手、遺影を仰いで一礼
②右手に線香をとり、蝋燭の火を移し下または後方に引き火を消す(息で吹き消してはいけない)
③線香を香炉に立てる(※)
※線香の本数は宗派で異なる
※浄土真宗では、火のついた方を左にして寝せる
●通夜ぶるまい
・故人を供養するためのものであり、誘われたら固辞せず一口でも箸をつける
・遺族から「にぎやかなほうが、故人も喜びます」と言われても、はしゃぐのは慎み、長居はしない
●弔辞
・頼まれたら断らない
●出棺
・故人を別れ花で飾る(仏教上の儀式ではない)
・寒くてもコートは脱ぐ
●骨揚げ
・故人と関係が深かった順に2人1組で、下半身の骨から骨つぼへ
→この世からあの世への「橋(箸)渡し」を意味するとされる
※浄土真宗では行わない
●清めの塩
・仏教上のしきたりではない(容認する宗派もあり)
→死を穢れとし、塩で清めるのは神道の作法
※浄土真宗などは強く異を唱える
●その他
・通夜は正式な儀式ではないので、できれば葬儀・告別式に参列する
・「死ぬ」「死亡」などの直接的な表現、「かさねがさね」「たびたび」 などの不幸が重なることを連想させる言葉は使わない(忌み言葉)
・「天国」「空の上」などはキリスト教的な表現なため、仏式葬儀にはふさわしくない
※「冥福を祈る(=死後の幸福を祈る)」という表現は、人は死後すぐに仏となると考える浄土真宗では好ましくないとされるが、一般的表現として使われているのが現状
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余談となりますが、次の本に、非常に大切なことが書いてあります。
ただし、大事なことは、他人ができていないときに非難はしないでください。マナーの本質は愛です。
(岩下 2014: 3)
私自身、最大のマナー違反というのは、マナー違反であるということを人前で、もしくは、その人に対してこれみよがしに指摘することだと思っています。
人のマナー違反を指摘するということは、場合によっては、その人の家族や周りの人を否定することにもなりかねません。また、マナーというのは時代や文化、時と場合によっても異なるものですし、知らず知らずのうちに自分自身がマナー違反をしている可能性だって十分にあります。指摘をする場合は、それだけの覚悟と愛をもって臨みたいところです。
<マナーについて考えさせられる1冊>
先月21日に享年54(満52)歳の若さでこの世を去った叔父を偲んで。